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子守話10「おたすけゾウさん」
なかまとはぐれたゾウが 川のほとりに 
ひとりぼっちでくらしていました。
ゾウは さびしくて こころぼそくて ないてばかりいました。
川のむこうがわにすんでいる たまちゃんが
ときどきあそびにきてくれました。
いっしょに あそんでいるときは たのしいけれど
たまちゃんが おうちにかえってしまうと
ゾウは さびしくて こころぼそくて なきました。

ゾウには かえるおうちがありません。
おとうさんとおかあさんもいません。
たまちゃんみたいに おえかきできません。
いぬさんみたいに はやくはしれません。
ねこさんみたいに 木のぼりできません。
なんにももっていなくて なんにもできない じぶんが
ゾウは とてもみじめでした。

「ゾウさんには ながーい おはながあるじゃない」
とたまちゃんが なぐさめてくれました。
おはなでみずをまいて どうろにおえかきできるじゃない。
おはなをのばせば いぬさんよりはやく とおくのものをとってこれるじゃない。
ねこさんは 木のぼりするのがせいいっぱいだけど
ゾウさんのおはなは 木の上に にもつをはこぶことだってできるじゃない。
そういわれても ゾウはやっぱりくよくよして
ながいおはなをくるくるまるめて
大きなせなかも小さくまるめて しくしくないていました。

ある日 川のほとりでないていたゾウは
ぱちぱちというおとがきこえて かおをあげました。
見ると 川のむこうのおうちがもえています。
ゾウのたったひとりのお友だち、たまちゃんのおうちです。
しょうぼうしゃのサイレンがちかづいてきましたが
みちがせまくて おうちにはちかづけません。
そのとき 2かいのまどから「たすけて!」とこえをはりあげたのは
たまちゃんではありませんか。
おうちのそとでは たまちゃんのおとうさんとおかあさんが
おろおろしています。

ゾウはもう ないてなんかいるばあいではありません。
ながいはなをせいいっぱいのばして 
川のむこうまでのばして 2かいのまどまでのばして
たまちゃんをつかまえました。
ゾウさんがたまちゃんをあんぜんなばしょにおろすと
おとうさんとおかあさんがかけよって 
たまちゃんをだきしめてなきました。
それから「ゾウさんありがとう」とゾウのはなにだきついてなきました。
うれしくてもなくことがあるんだとゾウはびっくりしました。

ゾウはおれいをいわれて しあわせなきもちになりましたが
まだ やることがのこっていました。
ゾウは ながいはなをのばして 川のみずをくみあげると
もえているおうちにむかって ちからいっぱいふきつけました。
なんども なんども。
だいどころからでた火は どんどん小さくなり 
ほかのへやにもえひろがるまえに けしとめられました。

しょうぼうしょからひょうしょうされて 
ゾウはまちのにんきものになりました。
ゾウのながいはなは おおいそがし。
川でおぼれそうになったこどもをたすけたり
たかい木からおりられなくなったおとなをたすけたり
川のむこうがわからこちらがわのとどけものは
ゾウのはなをつかえば まわりみちしなくたって ひとっとび。
まちの人たちは おおだすかりで おとなもこどもも
「ゾウさん ゾウさん」とたよってきます。

ゾウはもうひとりぼっちではありません。
ゾウはもうさびしくありません。
ゾウはもうなきません。
ながいはなをほこらしげにたかくあげて
きょうもだれかをたすけにいきます。 


◆いまいまさこカフェ日記2008年02月18日(月)  イタリアン風味の塩せんべいに掲載。
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by imaicafe | 2008-02-18 17:58 | story