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子守話78「わたしはわたし」
わたしは たまちゃん。
じぶんのことを 「たまちゃん」と よびます。
パパも ママも じいじも ばあばも ほいくえんの せんせいも
みんな わたしのことを 「たまちゃん」と よびます。

でも あるひ おもちゃの とりあいをしていて
「これ たまちゃんの!」と わたしが いうと
「たまちゃんは わたしよ」と あいての おんなのこが いいました。
「なに いってるの? あなたは みみちゃんでしょ」と いうと
「ううん。わたしは たまちゃん。あなたが みみちゃんよ」と
ほんとは みみちゃんの おんなのこが いいました。

ところが ほいくえんの おともだちと せんせいまでも
「あなたは みみちゃんで こっちが たまちゃん」と
いいだしたので わたしは とても こまりました。

どうしたら わたしが みみちゃんじゃなくて たまちゃんだって
わかってもらえるのでしょう。

たしかに わたしと みみちゃんは よくにています。
どちらも 8がつ うまれで せたけも おなじくらい。
かみのけの ながさも おなじくらいです。

どこか ちがうところは ないかしら。
わたしは いっしょうけんめい さがしました。

そうだ!わたしは ぎゅうにゅうが すきだけど
みみちゃんは ぎゅうにゅうが きらいです。
わたしは みんなの まえで ごくごくと ぎゅうにゅうを のみました。
ところが みみちゃんも ごくごくと ぎゅうにゅうを のみました。
おあいこです。

こまった こまった どうしよう。わたしは うーんと かんがえました。

そうだ! みみちゃんは てつぼうぶーらんが できるけど
わたしは てつぼうぶーらんが できません。
ところが わたしが てつぼうに ぶらさがると
ぶーらん ぶーらん なんと せいこうして しまいました。

わたしは ますます こまってしまいました。
わたしに ぴったりな ふくは みみちゃんにも ぴったり。
わたしだけが おぼえていると おもっていた うたを
みみちゃんも ぜんぶ うたえます。
なにから なにまで みみちゃんは おなじです。
とうとう わたしは じぶんが たまちゃんなのか
みみちゃんなのか わからなくなってしまいました。
 
みんなが ちがうって いっても わたしには わかる。
わたしは ぜったいに たまちゃんで
みみちゃんでも ほかの だれでも ないんだよ。
だって 「あなたは たまちゃんじゃない」っていわれたら
こんなに かなしくて くやしくて たまらないもの。

「それが わたしが たまちゃんだっていう しょうこ!」
わたしは じぶんでも びっくりするぐらい おおきな こえで いいました。
そのこえに びっくりして めが さめました。
となりで ねむっていた パパと ママも めを さましました。
「たまちゃん どうしたの?」
パパと ママが どうじに いって わたしの かおを のぞきこみました。
「たまちゃん」と よばれて こんなに うれしかったことは ありません。


◆いまいまさこカフェ日記2009年06月04日(木) 『ぼくとママの黄色い自転車』ノベライズ刊行準備中に掲載。
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by imaicafe | 2009-06-04 16:21 | story