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子守話4 いいにおい
おひるごはんを食べたたまちゃんが あそびに出かけようとすると
「たまちゃん 手をあらってから 行きなさい」とお母さんが言いました。
「いいのいいの。だって 食べものは きたなくないもの」
そう言って、たまちゃんは家をとび出しました。

たまちゃんが元気よく走ってくると、頭の上から声がしました。
「こんにちは、たまちゃん」
「こんにちは、鳥さん」
そのきれいな声は、鳥さんたちでした。
「たまちゃん、とってもいいにおい」
「わたしたちの大好きな お豆のにおい」
鳥さんたちはうたうように言いました。
「そう おひるに 豆のスープを食べたの」とたまちゃん。
見ると、たまちゃんの手には、
豆のつぶの小さなかけらがくっついていました。
「その豆のかけら、くださいな」
と一羽が言うと、他の鳥たちも
「くださいな」「くださいな」と合唱になりました。
「いいよ」とたまちゃんが言うと、鳥さんたちは、
すいーっとおりてきて、たまちゃんの手の上にちょこんととまると、
小さなくちばしをかわるがわるつき出して、豆のかけらをついばみました。
「ああ、おいしいお豆だった」
「ごちそうさま、たまちゃん」
「お礼にうたをうたってあげる」
そう話す鳥さんたちの声が、すっかり楽しいうたになっていました。

鳥さんたちのうたに見送られて、たまちゃんが歩いてくると、
おやおや、ねこの親子が道の真ん中でないています。
子ねこがミャーンミャーンとなくので
お母さんねこも困り果てて ミャーンミャーンとないています。
「こんにちは、ねこさん。どうしたの」
たまちゃんが近づいて声をかけると、子ねこはぴたりとなきやみました。
そして、うれしそうに、たまちゃんの手にぬれたはなを近づけて、
くんくんとにおいをかぎました。
「たまちゃん、お魚のいいにおいがするわね」
とお母さんねこが言いました。
「おひるにお魚を食べたの」とたまちゃん。
指にはお魚の身がほんのちょっぴりくっついています。
「そのお魚、うちのちびちゃんにあげてもいいかしら」
「どうぞどうぞ」とたまちゃんが指をさし出すと、
子ねこは小さな舌でぺろぺろとたまちゃんの指をなめて、
魚の身をきれいに取ってくれました。
すっかりきげんが良くなった子ねこは、ねむくなって、
お母さんねこのおなかに背中をくっつけてまあるくなりました。

ねこさんよかったねとうれしくなって、たまちゃんが歩いてくると、
「わんわん」と犬さんがよびとめました。
「こんにちは、犬さん」
「こんにちは、たまちゃん。ぼくの大好きな肉のにおいがするね」
犬さんがしっぽをふりふり言いました。
「おひるに肉だんごを食べたの」
「肉だんごはぼくが世界でいちばん好きな食べものだよ」
犬さんはうっとりと舌なめずりをしました。
「その指にくっついているかけらを食べただけで、三日間は幸せになれるね」
と犬さんが言うので、たまちゃんは「どうぞ」と指を差し出しました。
犬さんは、ざらざらした舌で、たまちゃんの指をていねいになめました。
指はすっかりきれいになって、肉だんごのにおいまで消えてしまいました。

「たまちゃん、ありがとう。お礼にひみつの場所をおしえてあげるよ」
犬さんが連れていってくれたのは、細い道の先にあるお花畑でした。
たまちゃんがお花をたくさんつんで家に帰ると、
「あら、たまちゃん、いいにおい」とお母さんは大喜び。
「たまちゃんの手にも、お花のにおいがついたわね」
お母さんは、たまちゃんの手をとって、においをかぎました。
「あれ? お花のにおいだけじゃない」とお母さん。
「なんのにおいか、あててみて」とたまちゃん。
お母さんは、はなをくんくんさせながら考えました。
「えーっとね、犬さんと、ねこさんと、それから鳥さん」
「すごい。どうしてわかったの?」とたまちゃんはびっくり。
「ちゃんと手に書いてあるわよ。みんなに手をきれいにしてもらったのね」
たまちゃんは自分の手をじっと見ましたが、何も書いていません。
お母さんって魔法使いみたい、とたまちゃんは思いました。

「さあ、パンがやけたわよ。手をあらってらっしゃい」とお母さん。
たまぢゃんは、石けんで手をごしごし洗ってから、
焼きたてのパンを食べました。
たくさん歩いたから、おなかはぺこぺこです。
夜になって、おふとんに入ってからも、
たまちゃんの手はパンのいいにおいがしました。
たまちゃんは、手がパンになるゆめを見ました。
そのいいにおいをかぎつけて、鳥さんやねこさんや犬さんがやってきて、
たまちゃんの手をむしゃむしゃと食べてしまうゆめでした。


◆いまいまさこカフェ日記2008年01月30日(水)  マタニティオレンジ230 子守話4「いいにおい」に掲載。
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by imaicafe | 2008-01-30 16:14 | story
子守話3 道
たまちゃんが散歩に出かけると、道が二つに分かれていました。
右と左、どっちに行く?
(たまが左を選んで)はい、左ね。
しばらく歩いて行くと、また道が二つに分かれていました。
右と左、どっちに行く?
(たまが左を選んで)はい、左ね。
そうしてしばらく歩いて行くと、また道が二つに分かれていました。
右と左、どっちに行く?
(たまが左を選んで)はい、左ね。
またまた歩いて行くと、またまた二つに分かれていました。
右と左、どっちに行く?
(たまが左を選んで)はい、左ね。
あれれ? 最初に出発したところに戻ったよ。

もう一度同じ道を歩いて行くと、さっきと同じところで道が二つに分かれていました。
今度はどっちに行く?
(たまが左を選んで)はい、左ね。
しばらく歩いて行くと、またさっきと同じところで道が二つに分かれていました。
今度はどっちに行く?
(たまが右を選んで)お、今度は右に行くのね。
右に行くと、どこまでも続く一本道です。
道はどんどん広くなって、やがて大きな原っぱになりました。
もう分かれ道はありません。曲がり角もありません。
右へ行っても左へ行っても、どこまでもつづく原っぱです。
原っぱには花がたくさんさいていました。
たまちゃんはおみやげに 花をつんで 家にかえりました。


◆いまいまさこカフェ日記2008年01月28日(月)  マタニティオレンジ229 子守話3「道」に掲載。
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by imaicafe | 2008-01-28 16:13 | story
子守話2 へんてこ
たまちゃんが歩いていると 道に へんてこなものがおちていました。
「あれ? なんだろ。へんてこだなあ」と言いながら たまちゃんは近づきました。
白くて平べったくて 落っことしたおもちが だらしなく伸びているような形をしています。
たまちゃんはそーっと手をのばして、つん、と指でつついてみました。
「ひょひょひょひょひょー」
へんてこなものは びっくりした声を上げて にょろにょろぐにゃりと動きました。
どうやら ずいぶん くすぐったがりのようです。

面白くなって たまちゃんは もう一度指でつついてみました。
今度は さっきより強くおしてみると 
「ひょひょひょひょ ひゃひゃひゃ」
へんてこなものは さっきよりも くすぐったがって たくさん動きました。
ぴょんとはねるように地面から浮き上がり、どすんとしりもちをつきました。

そのとき へんてこなもののうらがわが 赤い色をしていることに たまちゃんは気づきました。
おもてが白で うらが赤。
たまちゃんは 赤いうらがわをもっと見てみたいと思いました。
そこで、わきをこちょこちょするように 右と左から指でつんつんとつついてみました。
すると どうでしょう。
「ひゃらひゃら ひょひょひょ うぎょぎょぎょぎょ」
へんてこなものは 体を左右にねじって くすぐったがるではありませんか。
ぐるりと体がねじれると おもての白とうらの赤がまじって しましまもようになりました。

しましまもようになった へんてこなものを たまちゃんがもう一度つつくと 今度はにょろにょろと長くのびて ぼうのようになりました。
くすぐったいのには だいぶなれたのか もう大声は出さなくなりました。
「こんにちは しましまさん」とたまちゃんがあいさつすると
赤と白のしましまぼうは、「こんにちは」とおじぎをするように はしっこをくるんと折り曲げ、そのままかたまりました。
ちょうど かさの持ち手のような形になりました。
「あれ この形 どこかで見たことがある」
たまちゃんは クリスマスツリーにぶらさがっていた 赤と白のしましまキャンディを思い出しました。
「そうだ。今度のクリスマスにかざろう」
そう思って たまちゃんは家につれてかえることにしました。
家にかえるまでの間 へんてこなものは おとなしく しましまのぼうのままでいました。

「あら、たまちゃん。いいふとんたたきを見つけてきたね」
しましまぼうを見たママがうれしそうに言いました。
「いやいや、これは かたたたきにぴったりだ」
とパパが言いました。
「クリスマスのかざりになるまで ぶじ しましまでいられるかしら」
とたまちゃんは心配です。
ふとんをたたいたり かたをたたいたりした いきおいで
へんてこなものが またちがう形に へんしんしてしまうかもしれません。


◆いまいまさこカフェ日記2008年01月25日(金)  マタニティオレンジ226 子守話2「へんてこ」に掲載。
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by imaicafe | 2008-01-25 16:09 | story
子守話1 なんでもやさん
たまちゃんが 一人で かいものに でかけました。
世界中のものが なんでも買える なんでも屋さん。
あんまりたくさん商品があって 並べきれないので
ほしいものの名前を言うと お店のおじさんが おくのたなから とってくれます。

「いらっしゃい。たまちゃん」
「こんにちは。おじさん」
「今日は 何を 買いにきたのかな」
そのとたん たまちゃんは さっきまで頭の中にあった名前を忘れてしまいました。 「えーと、えーと」
「どうしたの、たまちゃん。何を買いに来たか 忘れちゃった?」
店のおじさんがやさしい声でききました。
「白くて 丸くて」
「ボールのことかな?」
「ううん、ボールじゃないの。食べられるもの」
「白くて 丸くて 食べられるもの?」
おじさんは、そう聞き返しながら、おくのたなに手をのばしました。
おじさんの手は自由にのびちぢみするので、遠くのたなの 上のほうにあるものも あっという間に取り出せるのです。
「これかい?」
とおじさんが出してくれたのは、たまちゃんが見たこともない食べものでした。
「これはなあに?」
「これはカマンベールチーズだよ。白くて丸くて食べられるよ」
「だけど、これはかたいわ」
たまちゃんがほしいものは、やわらかいのでした。
「だったら、これかな」
とおじさんが手をのばして取り出したのは、丸いうつわに入ったとうふでした。
「とうふは、白くて丸くて食べられてやわらかいよ」
「でも、ふわふわしていない」
「ふわふわしているんだったら、これかな」
今度こそ、とおじさんが取り出したのは、「むしパン」と書いた袋に入ったパンでした。
「白くて丸くて食べられてやわらかくてふわふわしているよ」
「にているけど、ちょっとちがう。それに、むしさんをパンに入れるなんて かわいそう」とたまちゃん。
「ちがうよ。虫が入っているんじゃなくて、むしたパンだよ。ゆげでふわふわにすることを むすっていうんだよ」
おじさんは笑って言いました。
「わたしがさがしているものも、ゆげでふわふわになっているよ」
たまちゃんがそう言うと、おじさんは、「わかった!」と大声をあげました。
「ほら、たまちゃん。これでしょう」
「そう。これ! ぶたまん」
見たとたん、たまちゃんは名前を思い出しました。
でも、手をのばしてさわると、悲しそうな顔になりました。
「あれ、やっぱりちがった。これは、あったかくないもの」
「これを おうちに帰って むすんだよ」
「むす?」
「そう。ゆげでふわふわのほかほかにするんだ」
たまちゃんはにっこり笑って、
「じゃあ、これで買えるだけください」
と500円玉を出しました。
「ひとつ130円だから4つで520円。20円はおまけだよ」
そう言っておじさんは4つ包んでくれました。
「ぶたさんみたいにまるまるしているから ぶたまんって言うの?」とたまちゃん。
「ぶたのお肉が入ったおまんじゅうだから ぶたまんって言うんだよ」とおじさん。
「ぶたまんのまんは元気まんまんのまんだと思ってた」
「ぶたまんを食べて 元気まんまんになってね」
おじさんは笑って言いました。
「なんでも屋のおじさん。ありがとう。また来るね」
たまちゃんは元気な声で言いました。


◆いまいまさこカフェ日記2008年01月24日(木) マタニティオレンジ225 子守話1「なんでも屋さん」に掲載。
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by imaicafe | 2008-01-24 16:07 | story